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最高裁判所第一小法廷 昭和50年(行ナ)17号 判決

千葉県松戸市平賀二〇九番地四三号

第一荘

再審原告

宇佐美博

千葉県松戸市大字小根本字久保五三の三

再審被告

松戸税務署長

永島輿三郎

右当事者間の昭和四九年(行ツ)第七号所得税更正加算税賦課決定処分取消請求事件について、当裁判所が昭和五〇年五月一日言い渡した判決に対し、再審原告から再審の申立があつた。よつて、当裁判所は、次のとおり判決する。

主文

本件再審の訴を却下する。

再審費用は再審原告の負担とする。

理由

本件再審の訴は、前記判決に民訴法四二〇条一項九号に該当する事由があると主張するものであるが、右判決には同号所定の判断遺脱のないことが明らかであるから、本件再審の訴は、不適法として却下を免れない。

よつて、民訴法四二三条、四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 下田武三 裁判官 藤林益三 裁判官 岸盛一 裁判官 岸上康夫 裁判官 団藤重光)

再審上告状

再審上告人 千葉県松戸市平賀二〇九番地四三号第一荘

宇佐見博

再審被上告人 千葉県松戸市大字小根本字久保五三の三

松戸税務署長

最高裁判所昭和四九年(行ツ)第七号所得税更正加算税賦課決定処分取消請求事件に就き昭和五〇年五月一日なされた左記判決の再審訂正請求事件

訴訟の価格 四五万五、九〇〇円

貼用の印紙額

右当事者間の昭和四九年(行ツ)第七号所得税更正加算税賦課決定処分の取消請求事件に就き昭和五〇年五月一日になされた左記判決は不服に就きこゝに再審の上告を提起する。

主文

本件上告を棄却する。 上告費用は上告人の負担とする。

昭和五〇年五月一日判決言渡 同年五月二日正本受領

再審上告の趣旨

上告判決を取消す。訴訟費用は一審二審三審共に被再審上告人の負担とする。

再審上告の理由

再審上告人が本訴の請求原因として主張する事実は上告判決の事実摘示の通りであるが、事実の認定を誤り認識不足、解釈不徹底である。上告人は国家の税務行政の秕政を糾弾するもので国家に挑戦するものでない。上告理由第一は独自の見解に基いてと申されて居るが、そうでない事は東京地裁昭和四二年(ワ)第九三九一号当方に名ヨある和解成立によつて証明されている。歴然たる証拠によつて相手を刑法上の問題とすることも出来たが罪を憎んで人を憎まず人間味を以て告訴しなかつた。本来なら金額以上に精神的大打撃で慰謝料はその数倍に価するものである。裁判所がかゝる悪行為智能犯罪を認めるもので国家の為に甚だ遺憾である。

同第六10-8=8の被再審上告人の処分は、例えば昨年高額所得者(不動産)一位の人、三五億円普通なら二四億が税、それを七億が税、此方は六〇〇万を税は四五万以上(尤も累進税率であるが)更に私の場合は貧者の一〇燈万者の三千燈では不公平である。多額所得者は生活費には影響せぬが、少額所得者は大影響である。

借金の利子は所得と見做すという法文はない、弱者いじめも甚だしい、前最高裁長官横田先生は或る裁判官会議の席上「裁判官であると共に人間である事を忘れてはならぬと申された」に違背する。

憲法第二五条は空文であつてはならぬ適用は当然である。

第三、二審の裁判長の不公平の処置は村上最高裁長官殿の去る五月三日の憲法記念日に「中立公正の立場を堅持」の声明に違背してる判決に、独自の解釈云われたが、御決文返す様で失礼であるが、体験をして得た正論で真理である。机上の空論ではない。

事件は少なれど一般国民に影響する処大である。

御判決は憲法第二五条、民訴法第四〇〇条第四〇二条に違背してる。

憲法第三二条により絶対に口頭弁論を開廷して戴きたい。

全然不服であるから民訴法第四二〇条九項により再審を提起する。

昭和五〇年五月二九日 再審上告人 宇佐見博

最高裁判所御中

国民あつての国家で国家あつての国民ではない。一国民の道理、正義、真実、道徳の観念、法律の履行は国家の善政に反映する。

立憲民主国の日本は再審上告人の場は昔で云えば、被再審上告人は与力、同心、国税不服審判所は奉行、最高裁判所は大老、一般国民は無冠の将軍である。

裁判官方々は社会各般に亘つて事件に当たり種々雑多の分野での御研究は全く大変御骨折の事と御推察御苦労此上なき事と感謝致して居る。世の中の出来事森羅万象総て法に規制する事絶対に不可能、法適用も固くなでなく、融通きかしてこそ活文化する由然であり、御裁判は、真実、道理、正義、道徳、法律をコンクリートにしたもによつてが本旨と心得る。

本事件は税務行政が曲つた決定をしたので、一審、二審と人の列の如く曲つてしまつた。御庁は日本終点の裁判所、10-8=8にならぬように道理日本、正義日本の為に是正して戴きたい。

会社では何々引当準備金として、利益より差引かれて税の対象とされている、資本主義国家に於ては、又各会社の健全充実の為には結構である。が再審上告人の如く、不動産を売り、手取り何分の一、それをマルマル、入つた如くに見なされた処に無理がある、ないそではふれぬ、証拠は歴然と書類を提出してある。

前記に比し実際のマイナスである弱者いじめと云われても当然で、憲法第二五条に反する。(個人の場合も健実にすべきである)本事件は奇妙である。一審第一回、裁判長は誰かに頼まれてやつたかと聞かれた、私は私自身の破邪顕正で御願いしたと答へ、第一回は公判であるが、その日の終りに、被告は次は私室でやりますよと云われた。その通り、四回程、私室で行なわれた。

どうもこの点不明朗である。当時の被告主任の方は横山裁判官に更正決定取消しませうかと云われたが、横山裁判官はそれはマヅイと云われ、被告交替でヅーツと御願いしている次第である。

再審上告人は10-8=2の分はとおに納税済である。

10-8=8の幽霊の如きは、無い袖はふれぬであつて、無理であり憲法第二五条により決定して戴くものである。

一審当初の被告、国税不服審判所は、精査はしたが審査はしない、私の場合、取引員の店にて、マイナス一〇〇万位が一三〇万になつて居つた。

御庁上告後公判未だか未だかと数回御伺したが、突然の御判決で驚いて居る。

最高裁判所長官村上朝一先生の御就任当初の「巌の如き心」を以て司法権独立の為に再審あらん事を切切に道理日本、正義日本の為に御願い申し上げるものである。

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